シーツに埋もれる細い肢体に触れるのは、確かに久し振りだった。 昔は頭を撫でるだけだったこの手で全身を探り、外したメガネの奥の瞳は熱を帯びて潤む。カナ、と低く名前を呼ぶ度に震える睫が雫を飛ばし、その様は劣情を仰ぐには十分過ぎる程妖艶で美しい。 かつて出会った頃は天使の様に愛らしいと思っていた容貌は、果たしていつの間にこのような色気を湛えるようになったのだろう。 「も・・・・っ、ダメ・・・って・・ば・・・!」 途切れ途切れに吐かれる苦しげな呼吸も、肩口に食い込む指先も、熱く蠢く身の裡も、離れていた時間を埋めるには何もかもが足りない。まだ、全然足りていない。 「カナ、カナ・・・カナ・・・ッ・・・!」 あぁ、俺はこんなにも飢えていたのか。 絡み付いてくる胎内の熱は、思考回路を焼き切り理性を奪う。思うままに揺さぶり快楽を追い、零れ落ちる涙でさえも全て舐め取る。 彼の全て、何もかもを自分の物にしてしまいたい。 あぁ、そうだ。 結局のところ、俺はこんなにも彼を愛しているのだ。 |
≪ Back To Title? |