曇りの硝子。外は雪。


「どうしたの、いきなり押し掛けて来るなんて」

「・・・・寒いんだ」


今は真冬。外は雪。
寒いのは多分当たり前。


「イギリスがね。忙しいんだって」

「そっか」


君の腕が腰に廻されて。君の頭を胸に抱いて。

『イギリスがいない』
『フランスさんがいない』

そうして二人、ベッドの上で抱き合って眠る。幼い頃から繰り返し。
君の硝子が曇ってる。
僕の硝子も曇ってる。


「カナダ」

「何?アメリカ」

「俺は、ちゃんと彼に愛されてる?」


君の眼が不安げに揺れる。僕は一つ瞬いて。


「・・・大丈夫」


君の額に、キスを一つ。
兄弟よ、どうか安心して欲しい。


「君は、ちゃんと愛されてる。僕も君を愛してる」


互いに曇り硝子を取り去って、今度は優しく唇を。


「けれど、イギリスは未だに俺と君を間違えるよ」

「あぁ・・・そうだね」

「フランスは間違えないのにな」

「本当に」


困ったものだね、と苦笑い一つ。つられて君も苦笑い。


「それでも」


君は彼に、愛されている。僕もきっと、愛されている。
同じ顔。違う心。


「大丈夫だよ」

「あぁ、そうだね」


パチンと暖炉の火が爆ぜる。
曇り硝子は一滴、涙を零して風に震えた。



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